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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

四

「お鈴さんでしょうか、――それから私。私はもう年寄ですから、娘見たいな心持で付き合っていますが、お夢さんに死ぬほど惚れているのは金太さんかもわかりませんね」

六助はツケツケと斯んな事を言うのです。

四

平次はそれ以上追及する興味を失ったらしく、八五郎を一人残して、そのまま引揚げてしまいました。お夢の怪我が大したことでないとわかると、振られた男の悪戯を、詮索立てする馬鹿馬鹿しさを覚ったのでしょう。が、それから十日ばかり、東西両国は、小正月でもういちど賑いを取戻したある日の夕方でした。

「いよいよ大変ですよ、親分」

ガラッ八の八五郎が、いつものあわてた姿で飛び込んで来たのです。

「また大変の憑き物か、物驚きをするのも病気の一つだね」

平次は相変らず落着き払っております。

「両国ですよ、親分。小左衛門の小屋だ」

「火事か、喧嘩か、それとも一と目千両が夜逃げでもしたのか」

「お夢じゃありません。こんどはお鈴ですよ。あの可愛らしい芸達者の娘が半死半生だ」

「また火鉢か」

「こんどは綱渡りの綱を切った奴があるんです。お鈴はお振袖を着たままお客の頭の上へ真っ逆様に落ちて、眼を廻す騒ぎだ。