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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

お勝手にいたのはお伝という四十五六の中婆さんで、

「驚きましたよ、いきなり悲鳴をあげるんですもの。濡手も拭かずに飛んで行くと、お鈴さんが灰神楽の中でお夢さんを介抱して居ましたが」

「金太と与三郎は」

「そこへ、私より少し遅れて、二人いっしょに梯子段を降りて来ました」

「六助は?」

「それから暫らく経って、煙草か何んか買ってぼんやり帰って来たようです」

この女は恐しく達者そうですが、人は好い方らしく喋舌らせて置けば市が栄えそうです。もう一人の囃子方の六助は、裏口を掃いておりました。薄禿げた四十八歳、どっちかと言えば肥った方で、女のように優しい口をきく五尺そこそこの小男です。

「お前は昨夜の騒ぎを知らなかったのだな」

「ヘエ、煙草をきらしたことに気が付いて、角の煙草屋へ行って、看板娘のお清さんをからかって、ブラリブラリと帰って来ると、あの騒ぎだったそうで、ヘエ」

「お夢に夢中な男があると思うが、お前は気が付かないのか」

「あのきりょうですが、お夢さんと来たら、全く金仏ですね、――あっしは昔から知っておりますが」

「この小屋に泊っておるもので、誰が一番お夢と仲が良いんだ」