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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

「ところで、話はそれっ切りか」

「まだありますよ、日本橋の欄干の真ん中で、お琴が落ちかけたわけだ。欄干の中ほどの木の割れ目に、釘が逆様に植えてありましたよ」

「何んだと」

「お琴は、落ちなかったのは不思議なくらいで、しかも痛いのを我慢して、あの子は向う岸まで欄干を渡ってしまいましたよ、足袋を脱いで素足のまんまだ、あの子は釘を踏んで血だらけになっているくせに、表店を取られたくなかったばかり、その血だらけの足で、欄干を踏んでしまったと聴いたら驚くでしょう」

「――――」

「浅田屋も飛んだ罪を作ったり、恥を掻いたり、それでおしまいになりましたが、店からは番頭の宇吉という男が、主人の治平の代りに来ていました。お琴の欄干渡りが済むと、どっと店へ帰ったが、その後が大変で」

「お前も沢屋へ行って見たのか」

「欄干の逆立ち渡りをした、お琴の様子が見たくなりましたよ、広くたって狭くたって、足で渡るのも楽じゃない、それが一寸でも逆立ちで渡るのは、大変でしょう」

「待ってくれ、お琴が怪我をしたのは足じゃなかったのか」

平次は妙なところで知恵を働かせるのです。

「そいつは無理です、たった十七の女の子に、逆立ちをして欄干を渡れるわけはありません。