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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁
六
「――――」
「腹が立つなら、あの女がなんのために嘘を吐いたか、それを捜してみろ」
「ヘエ?」
「わけはないよ。二三日前の晩、太之助が眼を廻したとき、兵二郎はどこにいたか、それをしらべるのだ」
「今日のことにはなりませんね」
「へっつい横丁のお種の家から、左内坂は近いな」
「表通りを廻ると大変だが、裏はすぐ左内坂ですよ」
「そうか――ちょいと待ってくれ」
八五郎と平次はいっしょに出かけましたが、八五郎は近所の噂をかきあつめに、平次はへっつい横丁の裏通りへ、暗闇をついて、それぞれの途を進めます。
六
この調べは簡単にすみました。いや簡単に済んだのは親分の平次の方だけで、八五郎の方はそんなわけに行きません。
八五郎がいきなり行ったのは、お種の家だったことは、なんという手違いでしょう。
「あの晩兵二郎はどこへ行ったか、お前なら知ってる筈だが」
八五郎は長んがい顎を撫でながら、目ざすお種に問いかけたのです。
「まア、そんなことはどうだって宜いじゃないの、今日みんな帰ってひまなんだから、少しは付き合ってくれても宜くない」
こんなことをいうお種であって見れば、八五郎たるもの向う柳原の巣へは帰れません。