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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

「伊豆屋の店の者は誰か来ないのか」

「下男の元吉さんは、チョイチョイやって来ますよ」

「弟の徳三郎さんは?」

「噂は聴いてるけれど、顔を見たこともありません」

「一昨日の晩、お銀は外へ出なかったのか」

「ちょいと出たようです。頭痛持ちで疳性だから、夜風に吹かれるのが好きで、チョイチョイ出かけます、――本当に頭痛持ちなんですね。頭へ油をつけるのが嫌いで、三日に一度、五日に一度は洗い髪にしております。あんなに毛を洗っちゃ悪かろうと思うけれど、本人に言わせると、女の頭の臭いほど嫌なものはないんですって」

「――――」

そんな話のうちに、家捜しは大方済みました。一服やっていると、

「あら、もう済みましたの、――千両箱でも見付かりまして」

お銀は葉桜の下を笑いながら戻って来ました。深い表情ですが、いかにも邪念のない姿です。

「飛んだ邪魔したよ、それじゃお銀」

「あれ、もうお帰りですか、せめて商売物のお茶でも上げるのに」

平次はそれを背に聴いて、一歩外に出ると、後に残った八五郎が、

「お銀、いやさ、お銀さん、邪魔したね。これをご縁に、ちょいちょい来るぜ」

立ち戻ってお世辞を言います。