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みんげいよんじゅうねん
民藝四十年
柳 宗悦
線上閱讀柳 宗悦《民藝四十年(みんげいよんじゅうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 182,248 字 · 368 頁
雑誌『工藝』発足
そこには町民たちの機智や皮肉がある。大津絵は民画ではあるが、かかる意味で原始的な絵画ではない。一つの進んだ文化が、民衆の手に托された時の産物である。私たちはそこに時代の智慧を思い、民衆の余裕を感じる。この事なくしてかかる洒落や諷刺の美があり得ようや。同じ民画ではあるが、かくまでに進んだものは世に類例が稀であろう。
大津絵はどこまでも民衆の絵画である。絵画が平民の手に移された時の産物である。かかる意味でどこまでも徳川期のものだといわねばならぬ。この平民の文化を背景とせずして、大津絵の存在はない。それは時代の産物である。時代を離れてその誕生はない。それは平民が、絵画の歴史に加え得た卓越した遺産である。そうして平凡の世界が真に何をなし得るかの、忘れ難い記念である。凡ての吾々は日本の絵画史に大津絵を持つことを悦んでよい。これこそは真に日本のみが果し得た比類なき民画だからである。否、大津絵に見出せる日本をこそ誇ってよい。それは民衆の叡智と情緒とのまがいもない披瀝だからである。
(一九二九年)
雑誌『工藝』発足
この計画の発端は古い。雑誌『白樺』が西洋の美術を広く紹介し、その十四年の歴史を閉じるまで、同人の一部の人々の眼は東洋の藝術に、そうして一部の人々の眼は工藝の領域に拡げられた。