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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁
……あなたは今はわしの物じゃ。……刃三十郎の所有物じゃ! ……焼いて食おうと煮て食おうと、拙者の自由というものじゃ」
「…………」
菊女は返辞をしなかった。
しかし心では思っていた。
(三十郎の云うとおりだ。こうなってはどうにもならぬ。どう思ってもどうにもならぬ。この兇悪な三十郎の、自由になるより仕方がない)と。
そう思いながらも思われるのであった。
(鵜の丸様はどうなったか? 萩丸様はどうなったか? 民弥様や右内様や、佐原嘉門様はどうなったか? 明暦義党の同志の方々や、青塚の郷の人達は、あれからどうなったことだろう? ……戦いは味方の負けのようであった! 一人のこらず戦死して、青塚の郷は焼き払われ、壊滅に帰しはしなかったか? ……それにしてもどうしてこうも早く、味方は敗北したのだろう?)
そうして彼女はこの三十郎が、自分に何を要求し、自分をどんなように取り扱かうかが、不安に思われてならなかった。
(淫蕩の眼付きで妾を見る! ……もしかすると妾の躰を!)
こう思うとゾッとした。
(こんな男に穢されるほどなら妾は舌を噛み切って死ぬ!)
貞操だけは守り通して見せる!