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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁
、大坂の方へ潜行した。
その間に三十郎の口によって、菊女の聞いたことといえば、人形の男雛の胸の中に、黄金島の地図があり、その島の一所に魚屋の遺産が、隠匿されてあるということと、地図を手頼りにしてその島へ行って、その財宝を探すつもりだ。――といったようなことであった。
「あなたをも一緒にお連れするつもりじゃ。……実は最初は梶子という女と、一緒に行く筈になっておりましたが」
などと三十郎は云ったりした。
菊女は民弥からそれ以前に、二個の人形のうち女雛の方の胸に、萩丸自筆の宥免状が、かくされてあるということは、ハッキリ告げられて知っていたが、男雛の胸の中に黄金島の秘密が、地図と一緒にあるということなど、全然告げられていなかったので、不思議に思わざるを得なかった。
(まだ三十郎は女雛の胸の中に、わたしたちの欲しがっている宥免状の、かくされてあるということに、一向気がついていないらしい。隙をうかがって奪い取り、一人ででも紀州へ出かけて行き、頼宣卿へつてを求めて差し上げ、同志の宥免を乞いたいものだ)
こう、しきりに熱望された。
で、それからというものは、貞操を許さない範囲において、菊女は三十郎と馴れなじみ、心を油断させるようにした。