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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁

青空文庫

轟々と音立てて拡がっていた。

二人が脱けて来たこの道こそ、洞窟に通じている四筋の道の中、誰にも発見されていないと、そう云われている一筋の道。――全くその道に他ならなかったのである。

いまだに風雨は荒れていた。

二人の体は雨に打たれ、打ちよせて砕ける波の飛沫にぬれ、文字通り濡れ鼠のようになってしまった。

それでも二人は嬉しくてならず、またここで大声に笑った。

「さあこれからどうしましょう?」

「このシケではおそらく私達の船は、砕かれてしまったことでしょう。……人里へ出るより仕方ありません」

そこで二人は岩山の裾を、一方へドンドン巡って走った。

と、行手に火の光が見え、大勢の人声がきこえて来た。

梶子の手腕

霜降小平に率いられた、それは紀州藩士たちであった。

明暦義党の幾人かが、この洞内にいるそうだ、いずれ出て来るに相違ない、そこを狙って討って取ろうと、同僚加藤源兵衛達は、一方の出口に見張っている筈、ここには霜降小平たちが、こうやって見張っているのであった。

焚火を焚き、それにあたたまり、彼らは雑談を交わせていた。

「や、女がやって来る」

一人の武士が驚いたように云った。