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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁

青空文庫

――さあさあこれが前祝いの祝儀だ」

三両がところを懐中から出した。

「これはお気前のよいことで」

「早速頂戴いたして置いて」

「仕事は仕事でミッシリやろうぜ」

と、三人の破落戸は小判を受取ると、ほくそ笑いをして出て行った。

一人となった三十郎は、うまくもない酒を飲みながら、ここに集まっている人々の話へ、それとなく耳をかたむけた。

というのはうしろ斬りの悪剣を用いて、辻斬りをして金を奪う武士が、刃三十郎その者であり、その辻斬りの武士の噂を、ここの連中がしているからであった。

それにしてもどうして三十郎は、和歌山城下などへ来たのであろう?

××島から一番に近い、本土の立派な、城下といえば、この和歌山の城下だからで、それで、彼は船頭に頼み、××島を脱け出して、このお城下へ来たまでであった。

収入のない彼であった。辻斬りでもして金を取らなかったら、その日その日にさえ事を欠いた。で辻斬りをやりだしたのである。

そうして彼は昼の間は、城下外れの街道筋の、非人小屋にかくれて住んでいた。

そのうちに彼は姉小路様一行が、この城下へ来たことを聞いた。

(梶子も菊女も来たそうだ。