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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁
俺だって、そのうち一人だけ縄を解く気にはなるまいよ」
「そう言えば、その通りだが――」
源吉はいくらか心持が解けた様子で、苦い笑いを漏らします。
「一と通り見せて貰おうか、何も後学のためだ」
「それじゃ、現場から――」
「八、手前も一緒に来るがいい」
平次とガラッ八の八五郎は、三つ股の源吉に案内されて、お菊の殺された湯屋の路地へ入りました。
一方は五尺ばかりの生垣、一方は黒板塀を前にした下水で、ドブ板の上は、血潮を洗って、一昨夜の跡もありませんが、源吉に死骸の位置を、細々と説明させた上、平次はそこから湯屋の入口まで歩いてみます。距離はほんの二三十間ですが、一箇所生垣が出張っているので、見通しはつきません。
「お菊が声を立てさえすれば、湯屋の入口にいたお吉に聞えたはずだね」
と平次。
「だから、殺したのは、お菊をよく知っている者の仕業だ。流しの剽盗や、あまり口をきいた事もないような人間のしたことじゃねえ」
「その通りだ。――が、別れ話がついて、他人になったはずの徳松が、未練らしくここで絡み付いたとしたら――手に刃物なんか持っているのを、お菊はおとなしく応対するだろうか」