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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁

青空文庫

三

三

「ちょいと、良い幕ねえ」

「何?」

少しさびた、けれども潤いのある艶やかな声を浴びせられて、平次は思わず後ろを振り向きました。

橋の上には、夕陽の後光を後ろに背負った、素晴らしい美女が地味なお召の袷の棲を軽くかかげて、平次の顔を迎えて、引入れるようにニッコリするのでした。

「お、お前はお勢」

「そうよ、富籤の時は、すっかり親分のお世話になっちゃったわねえ」

毒婦丹頂のお鶴の妹で、綱吉の妾になり、海雲寺の富籤で、一と役買って出たお勢。その後、お上の探索の手を逸れて、しばらく姿を見せなかった不思議な美女です。

「綱吉も、海雲寺の僧も何とかいう指物師も処刑になったが、お前はどこにいたんだ」

「悪い事をした者が処刑になるに不思議はないでしょう。ねえ親分、そうじゃありませんか」

「お前は?」

「親分でもない、私は何を悪い事をするものですか、イカサマ富の札を買ったのが悪きゃア、江戸中にやましい人間が何万人あるかわからない」

「何だと?」

「ホ、ホ、ホ、そんな間抜けな声を出すと、往来の人が立って見るじゃありませんか。私は綱吉親分の世話になったのも本当だし、千両の当り札を持っていたのも本当だが、それが罪にでもなると言うのかえ、親分」