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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
一〇
「何? 一と纏めにして江戸から送り出す?」
平次はサッと次の間の唐紙を開けました。この騒ぎに、梳手の娘達はどこへ行ったかわかりませんが、突当りの障子を開けると、目の下は真っ黒に濁った神田川の流れ、平次の胸には、始めて事件の謎を解く最後の曙光が射したのです。
一〇
「石原の親分、そういったようなわけだ、面目次第もないが、当分ここへ置いておくんなさい」
ガラッ八は悄気返って、利助の前に両手を突きます。
「…………」
利助は黙って腕を拱きました。平次の恬淡な心持が、今はもう判りすぎるほど判りましたが、長い間反目して来た利助は、ガラッ八の前に釈然として見せるには、少しばかり負惜しみが強かったのです。
「ともかく、詫びをするなら、石原の兄哥にしろというくらいですから、あっしの言うことなど聞く銭形の親分じゃありません。ついでの時、どうぞ宜しく取りなして下さい。私はあの親分から見離されるくらいなら、頸でも吊って死んでしまいますよ」
道化たうちにも妙に真剣なガラッ八の調子を見ると、利助は何となく擽ったい心持になります。
「まア、いいやな、その内に何とかなるだろう。しばらくここにブラブラしているがいい」