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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
二
平次は苦い顔をしました。
「本人が好きでやっているわけじゃねえ、それにも訳があるそうですよ」
「それがどうした」
「金の茶釜が盗まれて、佐五兵衛に小言を言われて弱っているのを見兼ねて、妹のお春があっしへ頼むんです。何とか銭形の親分さんにお願いして金の茶釜を見付けて下さい。兄が佐五兵衛に責めさいなまれるのを見ちゃいられません――と涙を流して」
「よし解った、八五郎の口添えで、若い娘の頼みとあっちゃ、こいつは行かなきゃなるまい」
平次は気持よく立上がりました。
「親分、有難い」
フェミニストの八五郎は妙にソワソワしております。
二
ガラッ八に案内されて、見世物小屋に行った銭形平次は、騒ぎのあまりの大袈裟なのに驚かされました。
小屋は八つ山の崖の上、花時を除けると、ひどく閑静な場所ですが、それでも街道から見通しで、高輪からも品川からも足場の良いところ、――そこに方五間ほどの筵張り、青竹を廻した木戸を入ると、中はすっかり土間で、正面の小さい舞台に畳を三枚ほど敷き、一双の金屏風をめぐらして、真ん中ほどのところに、三尺ばかりの台を据えまして、この上に金の茶釜が飾ってあったのでしょう。