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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁

青空文庫

五

海近い井戸で深さはほんの五六尺、土蔵の軒下から外した梯子をおろすと、わけもなく中の物は取れます。

井戸の外でそれを受取った銭形の平次、しばらく「諏訪法性の兜」のように、濡れた金の茶釜を眺めておりましたが、やがて両手で捧げて看貫(重さ)を引くと、

「御主人、――こいつが金の茶釜という代物に間違いないでしょうな」

「…………」

「底には、タガネで打った増屋の刻印もある、――お気の毒だが、約束の百両は貰って行きますよ」

「ヘエ――」

「千両の金の茶釜が、潮の差す井戸にたった五日漬って、青い緑青を吹いてるのは大笑いだ、こんなもので人寄せをやると、今度はお上じゃ抛っておかないぜ。――軽くて所払い、重くて遠島、獄門」

「…………」

平次の言葉に、佐五兵衛も米吉も蒼くなります。

金の茶釜はそのまま、井戸の蓋の上へ置き、平次は佐五兵衛の手から、百両の小判を受取りました。こんな事を大嫌いな平次が、一体それをどうするつもりでしょう。

五

「親分、その百両をどうするつもりで」

ガラッ八が一番先に心配しました。

「猫ババは極めないよ、心配するな」

平次の足は漁師町の方に向います。

やがて藤六の家の前に立った二人。