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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
七
「軽くてお役御免、重くて食禄召し放し。旦那様が家事不取締の罪は免れません」
「えッ」
「それでなくてさえ、お若くて切れものの旦那様、お役所向きは味方ばかりと思うと大当て違い、これはとんでもない事になりましたなア」
平次の恐れるのはそれでした。吟味与力で相当に敵も作っている笹野新三郎が、家族から縄付を出して晏如としていられる道理はありません。
お国は女で気がつかないのも無理はありませんが、そんな事は百も承知の助の石原の利助が、宵とはいっても、人の目につかないとは限らない縄付を、与力の家の門から引張り出して、わざわざ奉行所まで伴れて行くとは何とした事でしょう。
「若様は急に命に拘わる事もありますまい。それより大事なのは、お家の瑕瑾にもなる縄付の始末です。利助はいつ頃ここを出かけました」
「ツイ今しがた」
お国はさすがに恥入って顔も挙げません。
「それでは及ばぬまでも追っかけてみましょう。御免」
平次は挨拶もそこそこ、真一文字にお勝手へ抜けて、数寄屋橋の南町奉行所まで、韋駄天走りに駆け付けました。
七
三十間堀へ来ると、宵暗ながら、向うへ急ぎ足に男女の人影。
「石原の、ちょいと待って貰おうか」