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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁

青空文庫

明るくなってから気が付くと、雨戸の締りが外してあって、外には和助どんが死んでいるじゃございませんか――」

老実らしい佐兵衛の話で、前後の事情はよく解りますが、それにつけても、和助が曲者と共謀だったことは疑いを容れません。たぶん和助に引入れられた曲者は三千両の小判を手に入れると、和助を殺して逃げてしまったのでしょう。

「和助の身持はどうでした」

平次はもうそこまで突っ込んで考えております。

「私の口から申しちゃ何ですが、あまり良い方じゃございません。外の奉公人の示しもありますし、チョイチョイ叱言を言ってやりましたが――現に『寿』の女中とも――」

「ちょいと、旦那様」

不意に又左衛門の口を塞ぐように、横合から声をかけた者があります。

「何だい、お妻」

「そんな事をおっしゃっては、死んだ和助が可哀想じゃございませんか」

蒼い顔をしたお妻が、訴えるように又左衛門を見上げているのでした。少し取乱した様子も、この女らしくないたしなみの悪さで、事件が何となく容易ならぬ深さを持っていることを、平次が感じないわけには行きませんでした。

「親分さん、その床の間の三つの千両箱が、今朝になって気が付いてみると、三つとも空っぽになっているじゃありませんか」