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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
「なるほど」
平次とガラッ八は、その辺中を捜し廻りました。物置も、縁の下も、埃溜の中も――。
「井戸の水が急に濁るような事はないか、お勝手で訊いてくれ」
「心得た」
ガラッ八は飛んで行きました。その後へ、
「親分、上下の雪隠を掻き廻しましたが、臭えの臭くねえの」
釜吉がフラリと現われて、そんな事を言っております。
「そんな馬鹿なことをする泥棒があるものか、後で持運びのならねえ場所へ小判を隠すわけはねえ」
平次もこれには少し驚いた様子です。
井戸にも何の異状もなく、屋根の上の天水桶の中まで見ましたが、三十両はおろか、たった三両の小判もありません。
捜索の手はそこから往来を距てた荷物庫の方まで伸されました。主人の又左衛門始め、丁稚小僧まで加わって、大地を掘らぬばかりに捜し抜きましたが、三千両は遠く持去られたものか、浪花屋の居廻りには、片らも見えなかったのです。
そのうちに、船を出す刻限は過ぎて、荷主から大文句がやって来ます。
本店へは詫び状を出して、三千両は次の便船まで待って貰うことに決め、ともかくも一段落を付けたのは辰刻(午前八時)過ぎ、川一つ距てた組屋敷から、わざわざ同心の出役があって、検屍を済ませたのは辰刻半、浪花屋の内外は煮えくり返るような騒ぎです。