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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
それから、土蔵から千両箱を三つ運んだのは釜吉だというが、一つ一つが四五貫の重さがあったか。それからもう一つ、主人は和助とお妻の仲に気が付いている様子だったか――これだけ訊き出すんだ」
「ヘエ」
「言わなきゃア、構うことはねえ、平次は手前を疑っているから、縛られねえ用心をしろと言やいい」
「殺生だね、親分」
「何が殺生なものか、嘘を吐かせるんじゃねえ、本当の事を言わせるんだ」
「ヘエ」
ガラッ八が飛んで行くと、入れ違いに来たのは二十七八の女。
「浜町のお粂でございます。親分さんにお願いがあって参りました」
お静に口上を取次がせました。「寿」という料理屋の女中で、通人達にはよく知られた年増、気象の優れたのと、取廻しの巧いので有名な女です。
「お粂さんかい、なんだえ、用事ってえのは。滅法忙しいから、情事の出入りに口をきくのは御免だよ」
平次は打ち萎れたお粂を迎えて、こんな事を言います。
「そんな暢気なんじゃありませんよ、親分さん、敵を討って下さい」
「何だい、びっくりさせるじゃないか、いきなり泣き出したりして。――お前の父親の敵なら、酒じゃないか、三年前に中風で死んだはずだ。