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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
ガラッ八が後で平次にせがんで、例の絵解きをして貰った時、平次は打ち萎れてこう言いました。
「佐兵衛は大坂の本店の番頭だが、三十年も新堀の支店に居て、子供の時から又左衛門を育てた。近頃は少し老耄して店の方はあまり構わないが、根が忠義一途の男で、又左衛門を自分の子のように思っている。それが、千両箱のからくりを知った上、和助が主人を強請っているのを見て、ツイかっとしたのだろう」
「なアる」
「だがな、八、俺はまだ疑っているよ――。和助を殺したのは、やはり主人の又左衛門じゃあるまいか――と」
「ヘエ――」
「佐兵衛は主人の罪を聞くと、一言も口をきかずに、身を投げて死んだ。なまじ弁解がましい事を言って細工がばれるより、黙って死ねば主人を助けられると思ったかも知れない」
「…………」
あまりに深刻な推理に、ガラッ八も口がきけません。
「まアいい、俺の手落ちにして、又左衛門を助けてやろう。その代りお妻はあのままにしておけない女だ」
平次はまた大きな失策を一つ重ねました。が、佐兵衛が和助殺しの下手人になって死んだのですから、事件はこれで落着したわけです。それから八五郎と釜吉が、すっかり良い友達になった事も付け加えておきましょう。