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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁

青空文庫

金の鈴、銀の鈴、真鍮の鈴、銅の鈴、――足結の鈴、手の鈴、釧の鈴、大刀の鈴、鈴鏡、さては犬の鈴、鷹の鈴、およそ鈴と名の付くものなら何でもある――鈴は要りませんかな――」

ガラッ八はときどき懐を覗いて、仮名で書いて貰った口上書を弁慶読みにしながら、こういった声を張り上げました。猫の蚤取りさえ触れ歩いた時代ですから、鈴売りなどは決して珍しいものではありません。

「チョイと、鈴屋さん」

八五郎はときどき呼び止められて、猫の子の鈴、鋏の鈴などを売りましたが、徳蔵稲荷で盗まれたような、大きな鈴は誰も振り向いてはくれません。

翌る日、ガラッ八は根岸の奥へ入り込んでおりました。すっかりもう板について、懐を覗かなくともスラスラと口上も言えるし、元手かまわずの鈴も相当売れますから、何だったら、このまま足を洗って、鈴売りになるのも悪くない――といったような暢気な気持になっておりました。

「エ――鈴屋でござい、鈴はいりませんかな、手の鈴、足結の鈴、釧の鈴――」

と張り上げていると、

「ちょいと、鈴屋さん」

大家の寮の裏手らしい黒板塀の潜りが開いて、若い女が小手招ぎをしております。