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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁

青空文庫

二

「…………」

「親分さんをお見かけした時は、本当に夢中で飛付いてしまいました」

「こんなに暗いのに、よく私ということが判ったね」

「それはもう、助かりたい一心で――」

そんな話をしているうちに、三人は横山町の遠州屋の前に来ておりました。

「お礼と申しちゃ何ですが、お茶でも入れて、ゆっくり申上げたいこともございます」

しきりに引止める金之丞の手を振り切って、平次とガラッ八は夜の街を家路に引返しました。

二

翌日は、金之丞は手土産を持って平次のところへ顔を出しましたが、さすがに身に恥じたものか、自分を狙う者の心当りについては、何にも打明けません。

「これからのこともあるだろうから、自分に怨みを持つ者の心当りだけでも話しておいちゃどうだ。親分はそんなことを人に言う気遣いはねえ――」

ガラッ八は見兼ねていろいろ勧めましたが、

「いえ、人様を疑ってはすみません。親分さんが蔭ながら付いていて下さると解れば、どんな者だって滅多に手を出しゃしません」

金之丞はたしなみ深く口を緘んで、そのまま帰ってしまいました。

それから三日目。

夏の涼みの賑わいも今宵あたりは頂上と思われる晩、平次はお静やガラッ八を相手に、縁側へ煙草盆を持出して、両国で揚げる遠花火を眺めていると、