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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁
三
渋る私を無理に口説き落して、十年前に長崎へ行ったという音次郎を尋ねながら、罪亡ぼしかたがた、西国巡礼の旅に出たのでございます」
娘お染を捜しながら、贖罪の旅は、それから七年の間続きました。音次郎は相変らず、贓品や抜荷を扱って、大坂から長崎へ、江戸へと移った後を尋ねて、骨にも沁むような艱難が、去年の暮、江戸へ入る一足手前の、神奈川の安宿で、お楽の命を奪ってしまったのです。
「一たんの過ちから、継娘を音次郎に始末させたお楽は、それからは一日一刻も安らかな心持はございませんでした。私と二人、拙い御詠歌を歌いながら、人様の門口に立っては、ツイお染やぁい――と言ったのでございます。お染を捜し当てるまでは、地獄の底までも旅を続ける心算でございましたが、何分の艱難に身体を痛めた上、風邪を引いたのが因で、――お染、堪忍してくれ、済まない、済まないと言い続けながら死んでしまいました」
老巡礼百松の話は、哀れ深く続きます。
三
「その娘の行方が、近頃になって判ったというのだろう」
平次は百松の話のスピードを促すように、少しばかり先を潜りました。
「音次郎が江戸で古道具屋をしているということが判って、飛んで参りました。