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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁

青空文庫

「親分が焼け出されたと知らずに、元の家のあたりをウロウロしているのを、いい塩梅に拾って来ましたよ」

「どこに居るんだ」

「外ですよ」

「早く伴れて来な。うっかりすると、鳥は飛ぶぞ」

「ヘエ――」

ガラッ八は外へ飛出しましたが、路地を二三度出たり入ったりしたと思うと、

「親分、た、大変ッ」

格子の外から脳天に抜けそうな声を出します。

「何をあわてるんだ。――娘の姿が見えなくなったろう」

「それほど知っているなら、親分」

「だから、鳥が飛ぶぞ――と言ったじゃないか。十七や十八の娘が岡っ引の家へ来るのはよくよくだ。思い詰めてここまで辿りついても、いざとなると怖くなって逃出したんだろう」

平次は思いの外泰然として驚く様子もありません。

「落着いていちゃいけませんよ、親分。――親の敵を討ちたい――って言ったようだから」

「親の敵?」

「誰も相手にしてくれないが、銭形の親分なら、きっと筋道を立てて下さるに違いない――とも言いましたぜ」

「たいそう頼られたようだが、それにしちゃ逃げるのは変だぜ」

「どうしたものでしょう、親分」

「相手が若くて綺麗な娘だと、意気込みまで違ってくるぜ」

「そんなわけじゃねえが――」