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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁

青空文庫

二

「フーム、だいぶ話が面白そうだな。ところで、その坊っちゃんが怯えるのは毎晩の事かい」

「いえ、時々でございます」

「番頭の友二郎さんの泊っている時とか、手代の重三さんの泊っている時とか、決ってはいないのか」

「それが不思議でございますよ、親分、重三さんの泊った時は何ともなくて、番頭さんの泊った時に限って、お坊っちゃまは怯えなさるんです」

「…………」

二

「お坊っちゃまの痩せ細るのを見ていると、お気の毒でお気の毒で、とても我慢が出来ません。お嬢様もひどく御心配なすって、そう言っては悪いが、明神様をだしに使って、お願いに上がったようなわけでございます。親分、何とか工夫をしてやって下さいませんでしょうか」

達弁にまくし立てるお染の蔭から、高貴な感じのするほど美しいお雛が、八丈の袂を爪繰るように、おどおどした顔で平次を見守ります。

「それは驚いたな、お染さん。しかし、たったそれだけの話なら岡っ引へ来るより、医者を頼むのが順当じゃあるまいかネ。私にお化けを縛らせるより、虫下しを二三服呑ませた方が手っ取早く効きはしないかい」

平次はさして驚く様子もありません。

「いえ、親分、それだけなら、わざわざここまでは参りません。