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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 143,455 字 · 290 頁

青空文庫

「たかが女房――」

「へッ、叔母さんなんかときた日にゃ、猫の子だの嫁だの、生き物を貰うことばかり考えてやがる」

八五郎は少し忌々しく舌鼓などを打ちます。

「死んだ姉の子の手前に、身を堅めさせることばかり考えているんだ、悪く言っちゃ済むめえ」

「だがね、親分、女房を貰うのも悪くねえが、煮豆屋のお勘坊はいけませんよ」

「大層嫌いやがったな、お勘っ子が落胆するぜ」

平次は少しからかい気味です。飛切り真剣な話にも、こんな遊びが入らないと、滑らかな進行をしない二人の間だったのです。

「そんな話なら、あっしは帰りますよ、親分」

「あわてるなよ、八、これから話が本筋に入るんだ、――叔母さんもそう言ったぜ、同じことなら八五郎の気に入ったのがよかろうと、な。よく解った話じゃないか。目を付けた娘がありゃ、今のうちにそう言っておく方がいいぜ、後で実は言い交したのがあるなんざ通用しねえ」

「そんな気障なのがあるものか。親分の前だが、こっちだけで気に入ったのなら、江戸中には五万とあるが――」

「大きく出やがったな、せめて町内だけにしてくれ。江戸中の娘に当っていちゃ、盆前に埒があかねえ」

「町内だって、いい娘が三人や五人はありますよ。