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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁
「放っておくんだな、幽霊退治はもうたくさんだ」
「でもお北坊が可哀想ですよ、母親の亡くなった後は、身一つに引受けて世話をしたんで、泣いてばかりいますよ」
「いやにお北の事となると思いやりがあるんだね」
「冗談でしょう、親分」
そう言いながらもガラッ八が赧くなったのです。平次はそれを世にも面白そうに眺めやるのでした。
「だって、乙松は殺された様子もなく、肝腎の親父が呑んでばかりいるようじゃ、この仕事はお北坊のお守にしかならないよ、俺は御免を蒙ろう」
「でも親分は、智恵なら貸すはずだったじゃありませんか」
「止しだ、金なら馬に喰わせるほどあるが、今日は智恵が出払ったよ」
「…………」
「なア、八、こいつは伊之助親方が承知の上でしている事なんだ。乙松は生みの親の手許に帰って、伊之助は纏まった礼を貰ったのさ、余計な事をするだけ野暮だ。お北坊には可哀想だが、放っておくがいい」
「だって親分」
「たぶん馴合いの若いのが、親の許さない子を生んでよ、始末に困って捨てたんだろう。後で親が死ぬか何かして、幸い子供の拾い主も判っているから、金をやって取戻したのさ――この筋書に外れっこはねえよ。