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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

七

八五郎の報告はざっとこの通りでした。

「その鶴松という坊っちゃんは、以前と少しも変らないのか」

「弟の勇三郎様が言うんだから、ウソではないでしょう」

「顔も、物言いも――」

「多分そんな事でしょう」

八五郎の話はこれで全部です。

「親分の方はどうでした」

「俺の方はさんざんの体さ。園山の坊っちゃんが、来て泊っていることは判ったが、あとはなんにも判らねえ」

「ヘエ――」

ガラッ八は少し呆気に取られた形でした。聞込みにかけては、親分の平次もガラッ八の足元にも及ばなかったのです。

「でも、それで見当だけは付いたよ。今晩こそ、お北さんの敵を討ってやるよ」

「…………」

どんな成算が平次にあるのでしょう。

七

その晩亥刻(十時)過ぎ、平次は約束通り、御徒士町の吉田一学屋敷へ、お北と一緒に出向きました。

「平次、迷子札はどうした。――いろいろ相談をした上、三百両で引取りたいと思うが、どうだ」

後閑武兵衛は老巧な調子で話の緒を開きました。

今晩は打って変って奥の広い部屋へ通した上、隣の部屋には二三人の人が居るらしく、何となく改まった空気です。

「御用人様――いろいろ考えましたが、どうも金ずくでお渡しは相成り兼ねます」