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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

六

平次は躍り上がりました。

「そいつは何でしょう、親分」

「たしかに女でないなら、そいつは総髪だ。総髪にしている男というと――」

「医者か、八卦か、法印か――」

「しめたッ」

平次は新しい光明に臨んで驀地に飛出しました。

六

神田から下谷、日本橋界隈に、総髪姿で身体の利きそうな男というと、筋違見附外に大道易者をしている、浪人大谷道軒の外にはありません。

「八、下っ引を二三人呼んで来い、相手はうんと手剛いぞ」

「大丈夫ですか、親分」

「たいがい大丈夫なつもりだが、――念のため筋違見附を覗いて行こう」

二人は一気に筋違見附へ――。

その頃筋違見附、今の万世橋の袂は、丸ノ内、日本橋から、上野へ、甲州街道への要路で、警戒の厳重なところであり、人出の多いところでもありました。

見附外の少し離れた空地、三脚の台を据え、天眼鏡を構えた易者は、時々編笠を取って汗を拭きますが、無精髪の総髪、まだ四十そこそこの屈強な男です。

「八、止そう」

平次は張り切った肩を落しました。

「どうしたんで? 親分」

「総髪は江戸に何十人あるか解らねえ、迂闊にあの易者を縛って、物笑いになるのもイヤだ」

「それじゃ、あの野郎の家へ行って、家捜ししましょうか」