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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁
七
「大さらいの相談のようでした」
「来ると、いつでも、あんなにゆっくり居るのかい」
「いえ、三年に一度もいらっしゃいません。珍しい事で、姉も大変喜んでいる様子でした。近頃二人の仲が、何となく面白くなかったものですから――」
言いかけてお文はつと口を緘みました。言ってはならぬ事に触れたと思ったのでしょう。
「有難う、あまり心配しない方がいいだろう」
平次はどっちともつかぬ事を言って、夜更けの街を、神田へ帰って来ました。
七
「親分、いろいろの事が解りましたよ」
ガラッ八が神田の平次の家へ飛込んで来たのは翌る朝でした。
「鏡の事から先に話してくれ」
平次はガラッ八の饒舌を整理するように、こう切り出します。
「お政の懐中鏡は、水銀がピカピカ付いていますよ、鵜の毛ほどの傷もないくらいで、――七八年前に二両二分で買ったそうだが、物持ちのいい女じゃありませんか」
「それから、浜名屋の又次郎はどうした」
「師匠に死なれて悄気返っていますよ。首ぐらい縊り兼ねない様子で」
「嘘だろう、あんなに浮気な女どもに騒がれる男は、薄情なところがあって、容易に死ねないものだ」
「ヘエ」
「お前などは捨てられると死ぬ方さ、ね、八」