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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

に入れ換えたところで、今の御時世では、総理大臣を偉大にする途ではあるまい。

街の媚を売る女たちに、愛読の書を書かせると、何十パーセントかはジイドの『狭き門』だということである。愛読書の欄に記入された本が、高尚になればなるほど、それは読まない本にきまっているからである。政治家の読書というのは、六つかしい問題である。本は読むに越したことはないが「書を読んでことごとく信ずるは書無きに如かず」で、本を沢山読んでエライと思うのは、飯を沢山食ってエライと思う思想と、あまり大した違いはない。この世の中に存在する人間の中で「物識りと称する人間ほどイヤなものはない」と私は考えているほどである。本を沢山読んだから、エライ政治家になれると思うのは、飯を沢山食うから英雄になれると思う考え方と同じことだ。

一つの面白い例がある。大正の初年ごろ、私が若い新聞記者として訪問した、ある進歩的な大政治家の書斎に、その頃流行った、一冊金十銭の「早わかり本」が、かなりうずたかく積まれているのを見て、胆をつぶしたことがある。「社会主義早わかり」「相対性原理早わかり」など、十銭で最上最高の知識を供給してくれると信じているらしい、日本の大政治家などというものは、大変なものだと思ったからである。