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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁
七
七
「親分、お小夜はありゃ人間じゃねえ」
ガラッ八は息を継ぐ遑もなく、驚きをブチまけるのでした。
「何を聴き出したんだ、八」
「話になりませんよ、親分。あの女は幾つ身上をフイにして、幾人の人間を殺しているか判りゃしません、――一番堅そうな男に喰い付いて、自分の思う通りになるまで、手をかえ品をかえ揺すぶるんだ。身上も、生命も吸い取ると、蜘蛛の巣に引っ掛った虻のようにされて、何の未練もなく振り捨てられるんだ。恐ろしい女があったものさ、――鉄心道人だってその餌の一人さ。あの女がもう二た月三月生きていると、清水寺の清玄のようにされて、首でも縊るか、身でも投げるか、地獄へ真っ逆さまに落ちるより外に道はなかったんだ」
仏説の羅刹鬼女――そんなものをガラッ八は考えていたのでした。
「そんな事は解っているよ。鉄心道人はもう半分地獄に堕ちている。それより浅川団七郎の方はどうしたんだ」
「それですよ、親分」
「何がそれだ」
「下っ引五人に手伝わせて、一日一と晩江戸中を捜し、お小夜の行った先々を当ってみたが、そんなケダモノはどこにもいねえ」
「なんだと?」
「浅川にも、深川にもお小夜は見識が高いから、素浪人や貧乏者を相手にする女じゃありません。