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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

四

わっしの力には及びそうもなかったし、一つは親分の手柄にさして上げたかったんだ」

「馬鹿野郎、お前なんぞに手柄を譲って貰いたくはねえ、トットと引っ返しやがれ」

「帰りますよ、何も、馬鹿野郎、馬鹿野郎ッて言わなくたっていいでしょう、こう見えたって――」

「そのつもりで下手人を捕まえて来い、殺しの現場を見て、指を銜えて引下がる奴があるものか」

「…………」

ガラッ八は黙って飛出しました。こう言われると、義理にも下手人を縛って来なければ、世間へも親分へも顔向けがなりません。

四

「誰も外へ出た者はあるめえな」

「ヘエ」

太夫元の藤六は、米櫃のお松に死なれた上、うんと儲かっていた小屋にケチが付くのを心配して、すっかり萎れ返っております。

幸か不幸か、まだ検屍の役人は来ず、この辺を縄張にしている石原の利助も、他行中とあってまだ駆けつけません。

ガラッ八の八五郎は、出来るだけ威儀を整えて、新米の御用聞に許される範囲で、一と通り調べ上げてみました。

太夫元の藤六夫婦は相模のもの、小才の利いた番頭の清次の入れ智恵で、水心のある美女を二人雇い入れ、讃州志度の海女という触れ込みで、この見世物を始めたのでした。