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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

三

三

翌晩襲われたのは、本郷春木町の質屋で上総屋重兵衛、どうして八重の締りを解いたか、表口の厳重な潜りを開けて、店格子を乗り越え、小僧達の頭の上を跨いで、奥の一間に通り、主重兵衛の枕元に置いた用箪笥の中から、これも錠前を綺麗に開けて、小判で三百両、切餅を十二ほど持出されてしまったのです。

当時三百両と言えば一と身代と言ってもよいほどの大金、上総屋重兵衛蒼くなって訴え出ました。

「風太郎の仕業なら二三日のうちに返って来るだろう。その間俺を邪魔でも帳場へ置いちゃくれまいか」

「ヘエ――、それはもう願ってもないことで、第一盗賊の入った後で、店の者もしばらくは怖がってなりません」

重兵衛は大乗気で引受けてしまいました。ガラッ八は用心のために外の路地を見張らせて、合図があったら飛出して貰うことにし、銭形の平次は、そのまま上総屋の帳場に坐って、来る客来る客に鋭い眼を配りました。

客は平常の通りやって来ますが、さて風太郎らしいのは一人もありません。夕刻の立て込む真っ最中、至って粗末な様子をしておりますが、いかにも若くて美しそうな女が、店格子の前へすわり込んで、

「お帳面を忘れて来ました。