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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

三

「ネ、親分、面白いでしょう」

少し興奮した顔を撫でて、こんな事を言うガラッ八を顧みて、

「馬鹿だね、十手が懐中から、ハミ出すじゃないか、少し顔の紐を締めて、外の風に当ってみろ」

平次はサッと木戸の外へ出ました。

「だって親分」

「だっても糸瓜もあるものか、あの小屋の中には、妙に気に入らねえところがあるよ。とにかく、江戸っ子の見るものじゃねえ」

二人はそんな事を言いながら神田へ辿りました。

三

その翌る日、昼を少し廻った頃、平次の家へ、

「親分、た、大変」

ガラッ八が転げ込んで来ました。

「何だ、相変らず騒々しい」

「落着いていちゃいけねえ、親分、大変なことになっちゃったんだ」

「お前の大変には懲り懲りしているよ、そのたびごとに泥足で飛上がったり、煙草盆を蹴飛ばしたりするんだから――」

そう言いながらも、二の句が継げないほど息を切らしているガラッ八を見ると、平次も少し緊張した心持になります。

「親分。今日のは現にあっしがこの眼で見て来たんだから嘘も偽りもねえ。あの両国の海女が水槽へ飛込むと――」

「何だと――、またあの見世物へ行ったのか、馬鹿な奴だ。この間から変だ変だと思ったら、間がな隙がな抜け出しちゃ、木戸番へ十手の房か何かを見せびらかして、只であの海女を見ていたんだろう」