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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

四

「そんな事で変な気を起しちゃならねえ」

平次はつかぬ事を言って、この娘の宿命的な醜い半面を見詰めました。右半面がお才などは足許にも寄りつけぬほど美しいのに、これはまた、何という造化の悪戯でしょう。血と肉で出来た大傑作へ何か気に染まぬ事があって、赤い絵の具皿を叩きつけたといった顔です。

「ところで、女世帯では何かと物騒だろう。隣の畳屋を見張らせながら、ごく用心の良い男を一人置いて行くが、泊めて下さるでしょうね」

「えッ」

「八、手前今晩から、当分ここに泊っているんだよ、用心棒に」

「親分、あっしが?」

「そうよ、若い女の中へ転がしておくには、手前のような用心の好い男は滅多にねえ」

「チェッ、情けねえことになりやがったな」

「頼んだよ、八」

平次はろくに返事も聴かず、そのまま神田へ引揚げました。

「弱ったなア、どうも、驚いたなア」

後に残された八五郎の弱りようというものはありません。

若い女二人の白い眼に射竦められて、いつまでももじもじしていることでしょう。

四

「親分、大変な事になったぜ」

「また大変かい、八の大変に驚いていた日にゃ、御用聞が勤まらねえ」

平次は縁側で相変らず朝顔の世話に余念もありません。