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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
というような色がチラリと見えるのでした。
「ね、親分、誰かに殺されたに違いないでしょう」
少しばかりガラッ八の鼻は蠢きます。
「そんな事が解るものか――これだけ力任せに畳針を刺すうち、凝としているのは可怪しいな」
「眠っているところをやられたら?」
ガラッ八、今度は少し不安になりました。
「井戸端で眼を開いて寝ている奴はない」
「酔っ払っていたらどうです」
とガラッ八。
「丈吉は生れつきの下戸で、樽柿を食っても赤くなる野郎でしたよ」
主人の弥助は後ろから口を出しました。せっかく朱房の源吉が自害にして運んでいるのを、変な場違い野郎が飛出して、「殺し」にしようという態度が癪にさわってたまらなかったのです。
「親分、向うの二階から手裏剣を飛ばしたらどんなものでしょう」
ガラッ八はそっと囁きます。畳屋の裏は黒板塀を隔てて、しもたやが二軒、一軒は平屋の女世帯、一軒は裕福な浪人者の住居、こちらの方には、小さい二階があったのです。
「少し遠いな、――それに、畳針は手裏剣には少し軽いからあの二階から打ったんでは、頬に傷をつけるぐらいが精々だ。眼玉を狙って三寸も打ち込むわけには行くまい」