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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
と新三郎。
「奥州訛りのある大名と家来で、女中に京女を使っているところというと、すぐ判りそうじゃございませんか、旦那」
「フーム」
「紋所は、抱き茗荷のような、鱗のような、二つ菊のような――下屋敷が麻布か赤坂――ああ判った」
「何が判ったんだ、平次」
「間違いっこはありません。南部でございますよ」
「南部」
「御領地は盛岡で十万石、南部大膳大夫様は向い鶴の紋じゃございませんか。そのうえ御下屋敷は麻布南部坂で、召使女中には御自慢で京女を御使いになる。一色道庵の逢ったのは、南部大膳大夫重信様に間違いはございません」
「フーム」
笹野新三郎もこんなに驚いたことがありません。本草家を三人誘拐して二人まで殺したのは、容易ならぬ陰謀とは思いましたが、それが兵糧丸の秘密を解くからくりで、南部大膳大夫に疑いが向いて行くとは思いもよらなかったのです。
「早速龍の口の評定所へいらっしゃいませ、御老中にこの旨を申上げて、夜の明けぬ間に討手を差向けられるよう――」
「これこれ平次、もう少し後先を考えて物を言え。南部家には立派な兵糧丸が伝わっているはずだ。数ある兵糧丸のうちでも、南部と水戸の兵糧丸は有名で、大小名方の羨望の的になっているのに、何を苦しんで古い兵糧丸の分析をさせるのだ」