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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
親分の前だが、今年こそ、うんと働きますぜ。江戸中の悪党が、八五郎の名を聞いただけで眼を廻す――てな事になると――」
「八、気を付けるがいいぜ、雪のない正月で、いやにポカポカするから」
「ね、親分、今度はあっしに任せて下さいな、どんな事でも、一人で捌いて世間の人をアッと言わせますから」
「いい気のものだ、――おや、そう言えば御用始めらしいぜ、手前逢ってみるか」
平次が隣室に隠れる間もありません。バタバタと入って来たのは、若い男。
「銭形の親分さん、た、大変、――すぐお出で下さい」
突きのめされそうな声です。二十五六、大店の手代風ですが、余程面くらったものと見えて、履物も片跛、着物の前もろくに合っておりません。
「お前さんは、どこから来なすったえ」
八五郎は精一杯の威儀を作ります。
「安針町の、さ、相模屋から参りましたが、――わ、若旦那が昨夜――」
手代はゴクリと固唾を呑みました。
「これを飲んで少し落着いてから話すがいい。そうあわてちゃかえって筋が通らねえ」
平次がぬるい茶を一杯くんで出すと、それを一と息に呑みほして、しばらくホッと胸を撫でおろします。
「若旦那がどうした――」