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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

九

それから幾日目かに、お常親子は神明の水茶屋を畳んで、それっきり行方不明になってしまったのです。

九

お常親子が行方不明になって後も、不思議な狂暴な殺人鬼は暴れ廻りました。半月に一人、一と月に一人、双刃の刀で背後から、突き殺された死体が、引続きこの界隈で発見されたのです。

殺されたのは大抵町人や遊び人でしたが、中には武家も交っておりました。武術不鍛練のためと言えばそれまでですが、闇の夜を選って、背後から双刃の刀を飛ばされたのでは、大概の武術では全く防ぎようがありません。

笹野新三郎はとうとうしびれを切らして、銭形の平次を呼び出しました。

「平次、芝の人突き騒ぎは、お前も知っての通りだ。この上放っておくとお上の御威光にもかかわる。縄張などにこだわらずに、一肌脱いではくれまいか」

いつもの調子で、折入った頼みです。

「宜しゅうございます、旦那、決して好い児になっているつもりはございません。これでも半歳この方、八方に手を廻して探っております」

と平次。

「うむ、それは知らなかった。ところで下手人の目星は?」

「漸くつきました」

「それは豪儀だ、誰だ一体」

「もう一日お待ち下さい。