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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
「――では、この場限りでございますよ、親分さん」
お勇はとうとう口を割りました。その頃にしては少し薹の立ちかけた二十歳、さして美しくはありませんが、育ちのせいか垢抜けがして、娘らしい魅力に申分はありません。
「悪気でした事でなければ、決して人に言ったり、お前を罪に落すような事はしない、――一体どんな事があったんだ」
「…………」
そう言われると、お勇はさすがに気が挫けます。言って退けようか、言わずに済まそうか、しばらくは迷っている様子でした。
「手紙を書いたんじゃあるまいな、大垣伊右衛門様へ――」
平次は先刻の手紙――釣筆で書きながら、何となく女の筆跡らしいのを思い出したのです。
「いえ、そんな事は存じません」
「では?」
「申しましょう。かえって変な疑いを受けては困ります」
「その通りだよ、お勇さん」
「今では後悔しておりますが、お杉に言い付けて、父さんが朝の御飯のうちに、神棚の絵図面を取らせたのは私でございます」
「…………」
「親分さん、びっくりなすったでしょう。本当に悪いことをしました。でも、その絵図面が、どんなに大事なものか、薄々は知っていましたので、私の部屋の置床の上へ置いて、すぐ元の神棚へ行ってみると――」