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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
「…………」
押し潰されたような声がします。眼を挙げると、朧の中に、必死と揉み合うのは、内と外から合図をして逢った二つの影法師ではありませんか。
「八、生命がけだぞ、来いッ」
平次は疾風のごとく飛びました。
「御用ッ」
――後から続くのは、八五郎自慢の叱咤です。大きい影は、この形勢を見ると、小さい影を突っ放して、キラリと一刀を抜きました。
「…………」
平次は頃合を測って足を止めると、袂を探って取出した得意の青銭、右手は颯と挙がります。朧を剪って飛ぶ投げ銭、二枚、五枚、七枚。
「あッ」
曲者は、肘を打たれ、刃を打たれ、最後に額を打たれました。
「御用ッ、神妙にせいッ」
八五郎の声に驚いて、バラバラと飛んで来たのは、藤兵衛の弟子、喧嘩と野次馬では、断じて引けを取らないのが十五、六人。
「逃げるか、野郎」
追いすがる八五郎の鼻先へ、一刀を閃かした曲者、身を翻したと見るや、路地の外へ、バラバラと逃げ出します。
「御用ッ」
追いすがる八五郎。
「八、止せ……捕まえちゃ悪いことがある」
平次の声に、猟犬のようにいきり立つ八五郎は、漸く足を踏み止めました。
「大丈夫ですかい、親分」