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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
「親分、上から蝋燭で照しただけで、中に千両箱があるかないか、一と目で解るじゃありませんか」
ガラッ八は上から声を掛けました。
「解っているよ」
平次は苦笑しながら、穴倉の中を一わたり見廻しました。
「そこに何にもないと解った時、家中の者は全く驚きました。外に五千両という大金を隠して置く場所はありません。床下も屋根裏も見ましたが――」
勘五郎の言葉には、言いようのない絶望が響きます。
「隠居が孫を可愛がっていたそうだから、子供にそっと教えておいたんじゃあるまいか」
「そんな事も考えましたが、子供は何にも言いません。死ぬ時、巾着のことを言ったきりでございます」
「その巾着に何か思い当ることはないだろうか」
「父親は巾着などを持っているはずはありません。もっとも、倅の勘太郎はお守りと迷子札を入れた巾着を持っておりましたが、十歳にもなって、迷子札でもあるまいと、近頃は巾着ごと用箪笥へ入れてあるはずで――」
「それを見せて貰おう」
平次は勘五郎を促して、もう一度納戸へ取って返しました。まだ納戸に居る女房のお常は、止めどのない涙にひたりながら、勘太郎の遺骸を、添乳でもするように抱き上げたっきり、血潮に染むのも構わず、誰が何と言っても離そうともしません。