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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁

青空文庫

「鎌、輪、ぬ」の柄は好んで手拭にも浴衣にも染め、中には刺青にまでしたもので、やくざ、遊び人、のらくら者、と言った肌合の人達は、好んでこれを用いもしました。

「親分、いろ/\面白いことがわかりましたよ」

そんな中へ、八五郎は飛んで来ました。

「大層早かったじゃないか、何処を歩いて来たんだ」

「何処も歩きやしません、投げ節の小三郎に逢って、一ぺんにわかっただけで」

「何が――?」

「第一に先ず小三郎は昨夜亥刻少し前に自分の家へ帰って、亥刻半(十一時)には佐竹の賭場へ潜り込み、暁方まで裸体に剥がれて居ますよ、証人が十人もあるから、こいつは嘘じゃありません」

「それから?」

「これからが大変で、――一昨日の大夕立の真最中、往来には入っ子一人居ず、家と言う家は、雨戸も窓も皆んな閉め切っている時、自分の家の物干から屋根へ飛降り、踊り舞台の足場を渡って、此路地へ飛込み、開けたままの縁側から忍び込んで、向う向きになって、ウト/\して居た、師匠のお園を刺し殺した者があったとしたらどんなものです」

「誰がそんな事をしたというのだ、誰にしてもグショ濡れになる筈だが――」

「曲者は裸体だったとしたら」