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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁

青空文庫

七

七

最後に我々が注意しなければならないのは、文章の調子をまとめるために、右と書くべきを左と書くような無理をしてはならないことである。

我々日本人は漢文によって無理な美文を教えられてきた。これは概ね右と書くべきところを言葉の調子で左と書く風な所謂名文であった。これを名文と称ぶならば、私は躊躇なく悪文こそ芸術の文章と称びたい。

小説の文章は独立した文章として完成し、なだらかに美しく一種の詩の音律美を具えていても値打をもたない。寧ろそれは芸術を殺してしまうものである。

小説の文章は書くべき事柄を完膚なく書きつくさねばならないのである。即ち、作家の角度から選択され一旦書くべく算出された事柄は、あくまで完膚なく書きつくさねばならないのだ。たまたま文章の調子に迷い右を左と書きつくろうような過ちは犯してならないことである。

真の詩は言葉の調子からは生れないものである。まことの詩は事実の中にひそんでいる。バンジャマン・コンスタンは人性を知性にわりきった極北に詩を見出した。ドストエフスキーは人性の葛藤の中に詩を見出したのである。

(参考書)

日本語に読みうるものに、アランの「散文論」