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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁
(無常といふこと)とくる。
だから、歴史には死人だけしか現われてこない。だから退ッ引きならぬ人間の相しか現われぬし、動じない美しい形しか現われない、と仰有る。生きている人間を観察したり仮面をはいだり、罰が当るばかりだと仰有るのである。だから小林のところへ文学を習いに行くと人生だの文学などは雲隠れして、彼はすでに奥義をきわめ、やんごとない教祖であり、悟道のこもった深遠な一句を与えてくれるというわけだ。
生きている人間などは何をやりだすやら解ったためしがなく鑑賞にも観察にも堪えない、という小林は、だから死人の国、歴史というものを信用し、「歴史の必然」などということを仰有る。
「歴史の必然」か。なるほど、歴史は必然であるか。
西行がなぜ出家したか、などいうことをいくら突きとめようたって、謎は謎、そんなところから何も出てきやしない、実朝がなぜ船をつくったか、そんなことはどうでもいい、右大臣であったことも、将軍であったことも、問題ではない、ただ詩人だけを見ればいいのだと仰有る。
だから坂口安吾という三文文士が女に惚れたり飲んだくれたり時には坊主になろうとしたり五年間思いつめて接吻したら慌ててしまって絶交状をしたためて失恋したり、近頃は又デカダンなどと益々もって何をやらかすか分りゃしない。