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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁
あなたは医学会のお帰りか何かは判りませんが
黒いフロックコートを召して
こんなに本気にいろいろ手あてもしていたゞけば
これで死んでもまづは文句もありません
血がでてゐるにかゝはらず
こんなにのんきで苦しくないのは
魂魄なかばからだをはなれたのですかな
たゞどうも血のために
それを言へないのがひどいです
あなたの方から見たら
ずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
わたくしから見えるのは
やつぱりきれいな青ぞらと
すきとほつた風ばかりです
半分死にかけてこんな詩を書くなんて罰当りの話だけれども、徒然草の作者が見えすぎる不動の目で見て書いたという物の実相と、この罰当りが血をふきあげながら見た青空と風と、まるで品物が違うのだ。
思想や意見によって動かされるということのない見えすぎる目。そんな目は節穴みたいなもので物の死相しか見ていやしない。つまり小林の必然という化け物だけしか見えやしない。平家物語の作者が見たという月、ボンクラの目に見えやしないと小林がいうそんな月が一体そんなステキな月か。平家物語なんてものが第一級の文学だなんて、バカも休み休み言いたまえ。あんなものに心の動かぬ我々が罰が当っているのだとは阿呆らしい。