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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁
第二の人生というようなものだ。有るものを書くのじゃなくて、無いもの、今ある限界を踏みこし、小説はいつも背のびをし、駈けだし、そして跳びあがる。だから墜落もするし、尻もちもつくのだ。
美というものは物に即したもの、物そのものであり、生きぬく人間の生きゆく先々に支えとなるもので、よく見える目というものによって見えるものではない。美は悲しいものだ。孤独なものだ。無慙なものだ。不幸なものだ。人間がそういうものなのだから。
小林はもう悲しい人間でも不幸な人間でもない。彼が見ているのは、たかが人間の孤独の相にすぎないので、生きる人間の苦悩というものは、もう無縁だ。そして満足している。骨董を愛しながら。鑑定しながら。そして奥義をひらいて達観し、よく見えすぎる目で人間どもを眺めている。思想にも意見にも動きやしない。だからもう生きている人間どものように、何かわけの分らぬことをしでかすようなことはないのだ。そのくせ彼は水道橋のプラットホームから落っこったが、彼の見えすぎる目、孤独な魂は何と見たか。なにつまらねえ、たとえ死んだって、オレ自身の心は自殺と見たっていいじゃないか。