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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《支那游記(「しなゆうき」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,859 字 · 105 頁

青空文庫

西村は私を招く為に、何度も上海へ手紙を出している。殊に蕪湖へ着いた夜なぞはわざわざ迎えの小蒸気を出したり、歓迎の宴を催したり、いろいろ深切を尽してくれた。(しかもわたしの乗った鳳陽丸は浦口を発するのが遅かった為に、こう云う彼の心尽しも悉水泡に帰したのである。)のみならず彼の社宅たる唐家花園に落ち着いた後も、食事とか着物とか寝具とか、万事に気を配ってくれるのには、実際恐れ入るより外はなかった。して見ればこの東道の主人の前へも、二日間の蕪湖滞在は愉快に過さねばならぬ筈である。しかし私の紳士的礼譲も、蝉に似た西村の顔を見ると、忽何処かに消滅してしまう。これは西村の罪ではない。君僕の代りにお前おれを使う、我々の親みの罪である。さもなければ往来の真ん中に、尿をする豚と向い合った時も、あんなに不快を公表する事は、当分差控える気になったかも知れない。

「つまらない所だな、蕪湖と云うのは。――いや一蕪湖ばかりじゃないね。おれはもう支那には飽き厭きしてしまった。」

「お前は一体コシャマクレテいるからな。支那は性に合わないのかも知れない。」

西村は横文字は知っていても、日本語は甚未熟である。