輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

「……お。お」

救われたように、ほっと眉を和ませた。

「ただ今、船が着きました。――湖上の秋は、また格別、竹生島など、はや紅葉しておりました。何やら、戦場へ向うようなここちもせず、船中で下手な歌など作ってまいりましたが……いずれ戦の終ったあとで御披露に及びましょう」

そこへはいって来ると、藤吉郎は、ひとりで好きなことを喋舌り出した。彼の顔には、どこをさがしても、ここにいる主従のような険もないし、また屈託らしいものさえなかった。

「……どうなされたのです?」

なお、凝然たるまま、ものもいわない君臣を見くらべながら、彼のみは独り春風のように、

「――ははあ、ただ今、陣幕の外で聞いていましたが、そのことで御沈黙でござるか。臣下は、君を思うの余り、死を決して、諫言し、御主君には、臣下の衷情を知るも、斬りすてても、思うことをなさろうとするほどな暴君でもおわさぬために。……なるほど、困ったものですな。これは、いずれを是、いずれを非ともいえぬし」

信長は、きっと、向きをかえて、

「藤吉郎」

「はッ」

「よい折に見えた。あらましを聞いていたとあれば、余が胸中も、三名の申すところも、分っておろう」